不動産机上査定を鵜呑みにして売却に失敗してしまうパターン

【机上査定】とは、あなたがこれから売却したいと考えている、もしくは売るつもりはないけれども『いったい今いくらなのか?』を知る為に不動産業者へ査定を依頼した際に提示してもらう金額の事です。

机上査定では実際に現地を確認するわけではなく、簡易的に近隣の事例と比較したり、路線価、耐用年数からあなたの不動産価格を割り出す事を指しています。

 

一見便利なような机上査定ですが、売却を検討しているけどなにからすればいいのか分からないのでとりあえず一括査定→机上査定のパターンは下手すると売却を失敗に終わらせる可能性があるのをご存じでしょうか?

不動産簡易査定で最低限必要な情報|不動産屋はこうやって査定している(はず?)

机上査定に必要な情報はそれほどありません。

何が必要なのかといえば【売りたい不動産の住居表示】 これが分かればある程度の査定が可能です。

ある程度コツさえつかめば、不動産業者でなくても出来るような内容です。

 

ここで注意してほしいポイントが1つ。

机上査定=売れる金額ではありません。その意味では、あまり意味のない数字だとも言えます。

少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、机上査定は特段現地を見ているわけではなく、さらに言えば取引する際にトラブルになる要因はないか、減価に繋がる要因はないかについては考慮されていません。実際に、机上査定した金額を以て現地に訪問したら金額の修正を余儀なくされる事なんて事も少なくありません。

ではなぜ、各社こぞって机上査定をしてくれるのでしょうか。

1.机上査定と訪問査定の違い

机上査定とは、現地を見ずに査定する事

訪問査定とは、読んで字のごとく、現地を確認した上で査定する事です。

 

机上査定ではその不動産の情報ははっきり言えば【住居表示】だけで十分である事については述べました。机上査定の時点では【売主の事情】【地域の特異性】【近隣建物の状況】【法規上問題がないか】などについてはあまり考慮せず、あくまでもその不動産価格を成約事例や路線価などから割り出しています。

 

訪問査定では上記、販売に必要な情報+各所関連窓口(主に役所)を調査した上で【媒介契約を結び3ヶ月ほどで成約するであろう価格】を算出します。

不動産の査定のしくみ|チェックしたい3つの査定方法と+α

2.机上査定でありがちな事

机上査定の導線のほとんどが『一括査定サービス』によるものだと考えられます。

先に述べた通り、不動産業者は近隣の成約事例より価格のアタリをつけます。この時点でほとんど、不動産業者間で価格の違いはないはずです。

 

ですが、実際に一括査定の煽り文でよく見かける文言として『○○万円高く売れた』『早期に高く売却できました』などがありますが、実際このような例は物件の希少性などに依拠するもので、その物件のスペックが高かったとしか言いようがありません。

また、覚えておいてほしいのですが一括査定に対する不動産営業マンの熱量も個人差があり、『一括査定は媒介取れないから高く査定しておこう』というスタンスの人がいたり『一括査定もマメに対応する。お客様の為だから』という人もいます。

査定価格にバラつきが生まれる原因はこのあたりにあります。

実のところ、相場よりも高く売るのは結構むずかしい側面があります。

まぐれで高く売れた事は当然ないわけではありませんが、ある程度、計画をもって『考え得る限り高く売る』方が売却では得策であり『よくわからない高い金額』で売るのは先が見えませんのでおススメ出来ません。

3.家が売れなくて疲れる説について

『家が売れなくて疲れました。』

家が売れないで検索するとよく出てくるお悩みです。その物件がいくらで売っているのか、室内がどうなのか、古屋ありなのか、どんな道路に接道しているのか確認したわけではないのでよくわかりませんが、『高値査定』されて鵜呑みにしてしまったのではないでしょうか?

 

特に需要がないエリアだったり、優れた特徴がないのに近隣相場より高い金額で売り出すと、ほとんど売れないどころか反響自体ないケースが多いのです。

そもそも、売れない原因は机上査定で高い金額を提示されて鵜呑みにしてしまうからです。少し厳しい言い方をすれば『市場に出す金額が間違っている』のです。

4.囲い込みというけど実際どうなのでしょうか

売れない原因は囲い込みだといいますが、本当にそうでしょうか?

3ヶ月も売れない状態のモノを囲い込むメリットとは何でしょうか。ひいては半年売れないものを囲い込むメリットは?

 

不動産業者の食い扶持は仲介手数料です。本音を言えば早く売れてほしいのです。

販売が長引くと値下げしては?と言われると言いますが、『異常に高い物件を売る』のは難しく、相場に近くしないとなかなか売れない話は先に述べた通りです。

 

しかし、『考え得る限りのMAX金額』で売るのがある意味での不動産業者のミッションだとすれば、正確な査定も重要な仕事です。だとすれば、一番耳障りのいい提案をしてくる業者に頼むのではなくて、実際に売れる額と売る為の計画を打ち合わせしてくれる業者を選ぶ方が得策と言えます。

冒頭で述べた『一括査定による机上査定』にあまり意味がない理由はそんなところにあります。

5.不動産価格はある程度自分で調べられる

不動産自動査定サイト|自分で不動産価格を調べられるおすすめサイト15選

このように自分である程度の価格は調べやすくなりました。査定が自動で出来る上に、匿名で利用できるものが多いです。このようなサイトを利用しつつ、近隣の不動産との競合性を考え、自身の状況に照らしてあるていどのアタリを付ける事が重要です。

まとめ

机上査定と連動して一括査定をする事自体はあまり正確な数字を図るための材料にならないという事です。

厳密に言えば『アタリ』と『ハズレ』が混じっているという事です。繰り返しますが、現地を見ていないので何とも言えないのが事実なのです。

すぐに現金化しなければいけなければすぐに決まる価格があり、3ヶ月以内に売れてほしいのであればそれ相応の価格があり、とりあえず売れればという価格があるのです。

 

まずは売却の目的を明確化した上で、査定依頼をするようにしましょう。

また、販売が長期化すると誰でも疲れます。そしてよくあるパターンがあるのですが、『複数社に一気に一般媒介でバーっと出す』です。

ある程度、価格が相場に近いなどであれば構いませんがこのパターンは本当に最悪のパターンだとも言えます。実際にあったのですが、私のところに一般媒介を依頼された方がいらっしゃいました。その時点で3社程に依頼している状況でした。

『なかなか売れないので窓口を増やしたい』との事でしたが実際に買いたい人を連れていったのですが他社から『もっと高く買う人がいます』といわれて話が壊れました。しかし、肝心の高く買いたい人も買わず。。。はじめからそんな人はいなかったのかも知れません。

真相はよくわかりませんが、その後売れずにいったん売り止めという事に。その後どうなったのかは知りませんが、不動産業者であれば1回はこのような経験をしているはずです。

しかし、『専任媒介で一社に絞れ』と言っているのではありません。『価格を間違えることなく売り出せ』と言っているのです。

 

少し長くなりましたが、不動産売却のすべては価格といっても過言ではありません。大事な不動産を売るのであればもっとも大事にするのは価格の部分ですが、どうせ売却するのであればよく分からない金額を提示されかねない机上査定を鵜呑みにして売却失敗のパターンに陥るのは避けるべきです。

そのためにも売却前に出来るだけご自身で不動産価格を調べてみる事をおすすめします。

 

 

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