この記事を読んでいる方の中には新築ワンルーム投資の営業電話を受けたことがある方もいるかもしれません。
また、既に物件を購入し、運営されている方もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事では、新築ワンルーム投資に焦点を絞ってお伝えしたいことがあります。
タイトルにもある通り、以下 新築ワンルーム投資をおススメできない理由についてです。
1.投資用新築ワンルーム購入をおすすめできない理由
この記事を読んでいる方の中には新築ワンルーム投資の営業電話を受けたことがある方もいるかもしれません。
もし、購入をお考えの方は新築ワンルームの特性について、一読下さい。
1-1.新築ワンルーム投資|新築なので当然物件価格が高い
文字通り、新築物件ゆえ販売価格設定は高めに設定されています。当然と言えば当然ですがディベロッパーの利益が乗っているからに他なりません。
利益を乗せて販売する、それ自体を否定しているのではなく、購入する側とすれば物件価格の高い投資をなんらかの理由なしで購入するのは危険だと申し上げたいのです。
完全に残債がなくなるまで保有するぞ!という方は別として、いずれ物件を売却して利益を確定するというような不動産投資として新築ワンルームは難易度が高いのです。
1-2.新築ワンルーム投資は空室率100パーセントと隣り合わせ
新築バリューで投資を開始した直後、賃借人が付くかどうか 物件にもよりますが賃料設定の誤りさえなければ借り手は中古に比べれば付きやすいです。
また、好立地である場合も同様です。
しかし、区分マンションの特性上、その賃借人が退去すればそれすなわち空室率100パーセントですので空室の可能性・不安と隣り合わせの運営をしなければなりません。
新築と銘打っていますがワンルーム投資全般、空室率はけっこうセンシティブな問題かと思われます。
区分マンションを複数購入し、リスク分散する等の考え方はありますが、仕入れは安くする必要がありますし、新築ワンルームを格安で仕入れるというのは難易度が高いと思います。
2.投資用新築ワンルームを売却する時にどうなるのか?
2-1.新築時からの値下がりにびっくりするかもしれない
先に述べた通り、新築時からの値下がりを考慮しなければならないのですが、築年数もそれほど経過していない場合(例として5年ほど)でもおおよそ7~8割ほどの評価で販売するケースが多いです。
例えば2000万円で購入した場合5年後くらいに売却しようと考えると1400~1600万くらいのイメージです。(立地やマンショングレードによってはそうでないケースもありますが。)
つまり年約6%程キャピタルロスが発生しているようなものです。仮に物件購入時、利回り5~6%NET3~4%であれば実質左記の6%のキャピタルロスを勘案するとマイナスになります。
2-2.賃借人が付いている場合、収益還元法での査定となる
収益還元法、ざっくり言えば利回り計算で物件価格を算定するという事です。
賃借人がついている物件の場合は市場から賃料一年分÷物件価格での評価受けるですから、賃料にもよりますがまさしくその賃料収入に左右される事となります。
例として 賃料7.5万で賃貸中の物件であれば1400万で販売すれば表面利回り6.4% 1500万で販売すれば6.0% 1600万で販売すれば5.6%となります。
希望成約金額が仮に1700万円 それが残債を割らないギリギリの金額であり、その金額を下回ってしまえば持ち出しが必要なような状況ではやはり利回りで評価されがちなので購入者はなるべく安く購入し、利回りを確保しようとするはずなのです。
上記は一例なのですが、斯様に売却のスケジュール立てが思ったほどうまくいかない状況になりやすいので新築ワンルーム投資物件の売却時には注意が必要です。
2-3.賃借人がいない場合での売却
実需物件として売れるケース等もあります。床面積にもよるのですが多くの金融機関が設けてる住宅ローン適用に必要な床面積30㎡(内法)をクリアできるワンルームは多くありません。
その場合、自己利用を目的とする購入候補者、なるべくキャッシュで購入できる候補者、買取等、販売先が狭くなるのでやはり注意が必要です。
また、賃借人が付いていないのでインカムが確定出来ない為、購入候補者も近隣賃料に敏であることを忘れてはいけません。
3.実際にあったワンルーム売却相談の実例
以下、過去に担当したワンルーム案件の売却例です。
3-1.実際にあったワンルーム売却例①
売主:手金なしフルローンで物件を購入・保有期間約5年
売却理由:毎月の持ち出しがきつい・収益にならないと気付いた 等
売却希望価格:1800万 査定1500万 売出価格1830万
残債絡みで価格の幅が取れず、検討者が出ても条件合わずが続く。
販売期間が長期化、その間もあまり残債は減らず、1600万の申し込みに対し、残債割れ分を借入によって賄う事によって売却。
3-2.実際にあったワンルーム売却例②
売主:頭金2割程度・保有期間約2年
売却理由:賃借人が退去 等
売却希望価格:2300万 査定1980万 売出価格2280万
販売開始するが反響が全くなく媒介期限の3ヶ月を超過。その後他社媒介に切り替え、売れず。
その後は不明。
3-3.実際にあったワンルーム売却例③
売主:フルローン・保有期間約10年
売却理由:資産整理 等
売却希望価格:1500万 査定1500万 売出価格1580万
販売開始後、反響 複数。成約1450万円。ある程度残債が減っていた事、ある程度の床面積があり希望額が周辺相場からあまり乖離がなかった為、早期売却が出来た。
利益は不明。
上記例のように新築ワンルームマンションを中古として販売する場合、残債と周辺相場の乖離に苦戦するケースが多いです。
立地やマンションのグレードによって苦戦する事なく売却できた事例もあるのですがそう多くはありません。
4.将来に対する不安やお守り替わりの新築ワンルーム購入はおすすめできない
今はどうかわかりませんが、私が不動産営業マン時代に私自身 新築ワンルーム投資の勧誘電話やDMが送られてきた経験があります。資産運用だとか年金替わりだと言われますが、よくよく考えてみればほとんどの物件を長期的に保有せざるを得ず(長期保有自体が悪いのではなく、収支がマイナスにも関わらず持ち続けるのが悪いのです。)、いちいち入退去に神経を使うのはいやだなという理由から新築ワンルーム投資は敬遠していました。
ですが、驚く事に同じ社内の内勤が購入していたり、近しい友人も購入する者がいました。
しかし、動機のそれを聞いてみると意外と単純な理由で営業に押し負けてつい買っていたり、将来の不安だと答えました。
あくまでも不動産投資を事業として捉えるのであれば上記で解説したように実質利回りマイナス状態は想像が付きやすそうなものなのですが、心理的に購入したくなる気持ちもなんとなくではありますが理解できます。
しかしながら、購入から売却のスパンが長くなりがちなのと、意外と売ったはいいけど投資として成り立っていなかったという事実を数年後に迎えるのはいささか悲しいのではないかと思います。実際に、仲介の立場として売却のお手伝いをした事もありますが、保有してからそう期間の空かない段階での売却では苦労したのを覚えています。実際に、売る事が出来なかった物件もあります。
このように新築ワンルーム投資は、その後の投資に結びつける為の難易度が高いゆえ、ご購入前に今一度、投資する目的・動機を確認して頂ければと思います。
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