自宅を売却に出したけどなかなか売れない。そんなお悩みを頂く事があります。
不動産売却の理由は様々ですが、やはり最大の目的は狙った金額で狙い通り売却が進む事なのですがなかなかそれが難しい。
不動産価格を決定する際には何パターンか査定方法が存在します。しかし、そのどれにも共通するのが、物件の個別性が元になっているという点です。
その考えを少し理解頂ければ、不動産売却時に販売期間が長期化することによる損失を回避する可能性を高める事ができます。
そのような状況に陥った場合、もしくは陥らないためにはどのように注意すればいいのでしょうか?
1.物件への問い合わせは売出し直後が多い
1-1.どんな人が問い合わせをしてくるのだろうか?
まず、売りに出している物件が売れる事を目的に設定して話を進めたいと思います。
重要な事としてどのような人が問い合わせをしてくるのかを先に把握する事です。問い合わせに至るとはどのような状況でしょうか?
以下、問い合わせに必要な必要条件
不動産を探している・もしくは興味がある
ある程度のエリア・予算が決定されている
希望条件に近い物件について実際に知りたい・見たいという要望を持っている
具体的に成約まで至る顧客像から冷やかしに至るまで少なくとも上記の要素がなければ問い合わせには至りません。このような要素を含んだ問い合わせから現地案内に至るような反響が得られなければ成約には至りません。しかしながら現地案内があったからといって成約に至るわけでもありません。この段階である程度のフィルタリングが必要になります。不動産業者視点から論じるとすれば、『すぐにでも購入したい』もしくは『いずれは購入したい』層の顧客アプローチに注力するようにします。
1-2.今まで物件を探していた購入希望者からの問い合わせ
『すぐにでも購入したい』『いずれは購入したい』 両者が今日のいままで物件を探している購入希望者層に属します。中でも前者からの問い合わせが多いのは売出しを開始して約2週間以内とも言えます。理由として1項で前述したとおり『不動産を探している』・『ある程度のエリア・予算が決定されている』・『希望条件に近い物件について実際に知りたい・見たいという要望を持っている』につき具体性を伴っているからに他なりません。このような購入希望者層についての成約率は『いずれ購入したい』購入希望者と比較した場合、他物件との比較検討が済んでいおり、購入決断の段階に入っている為、高いと言えます。
1-3.成約率・成約価格ともに高くなる可能性が高い
今まで物件を探していた購入希望者からの問い合わせから成約においてはその成約率・成約価格が高くなる傾向にあります。資金計画・意思決定までの道筋、言い換えれば売買契約までの道筋がある程度クリアである為です。ここで注意すべきは売り出し価格を『考え得る限り高く出す』という事と『単に高く出す』事を峻別出来ている事が条件となります。つまり、主観的な高値ではなく客観的な高値での売出をする事、および購入希望者の動向を把握する事が重要なのです。
注:購入希望者がどのように考えて問い合わせから契約に至るのかについては『不動産売却時と購入時での情報取得の違いからみる販売戦略』にて解説しております。
2.長期間売れない場合問い合わせが減少する
2-1.長期的に不動産が売れない状況とは?
本記事内ではひとつの目安として専任・専属専任媒介の期限3ヶ月を超過し6ヶ月以上売出ししている状況を長期的に売れない状態とします。
2-2.販売戦略として取れる手段が減る
仮に、不動産を物理的ではなく情報として捉えた場合、販売長期化に伴い購入希望者へ訴求できる手段が減ります。
当然ながら売出直後は情報鮮度が高い為、価格・物件スペック・広告がうまくかみ合えば早期に売却できるケースが多いのです。つまり情報として整合性があればいいともいえます。ここで覚えておきたい事の一つとして、不動産については変える事の出来る情報・変える事の出来ない情報があるというポイントです。
以下、不動産売却時に情報として可変可能な情報として
価格
収益(投資用・事業用であれば空室を埋める)
リフォーム・コンバージョンによるバリューアップ
解体・測量(土地として売出しているケース)
分筆して販売する
写真掲載数を増やす・写真を綺麗に撮影する
インセンティブ(現場見学会に来場すればクオカードをプレゼント等)
逆に、可変不能な情報としては
所在地(エリア)
対象エリアの流動性
物件に係る法規制・行政自治体のルール
物件の新築時からの経過年数
物件の面積・接道方向・バルコニーの向き
等を挙げる事が出来ます。
上記よりお気付きかもしれませんが、不動産価格の決定においてはその多くの要素を可変不能な不動産の個別性に依拠します。そして、可変可能な情報、例えばリフォーム等によるバリューアップなども提案できますが、実はリスクが高いのも事実で経費を掛けたが全く売れないというケースすらあります。つまり、物理的要素に手を加えるという手段というよりも情報の提供方法の角度を変えるとか購入希望者に対して訴求する為にインセンティブを設けたり等、狙って問い合わせを得るという手段についてはバリエーションが多くないのです。
2-3.思った金額で家が売れなくなる可能性が高くなる
販売が長期化すると問い合わせ自体が減少します。これに連関し、売り手側が購入希望者を選べないという状況を醸成する事に繋がります。
つまり、買手側を長期間売出している=今まで売れていないなら金額交渉出来るだろうという心理にさせます。
例えば、5000万で売りに出し1ヶ月以内で3組ほどが競合した場合、他者に取られたくないという心理から5000万円で成約する可能性は高くなりますが、3ヶ月以上経過してから1組のみから検討される場合競合がいませんし今まで競合しなかったと目されれば金額交渉が出来る余地を生みます。売主、および仲介業者からすれば、5000万円に届かなくても売れれば御の字という意識に変性される可能性が高いゆえ、思った金額で売れないという結果となるのです。
3.なぜ販売が長期化してしまうのか?
3-1.販売活動が適切ではない
不動産業者の販売活動が適切でないという事です。適切でないとはなんでしょうか?
例として、
- 購入希望者、および購入希望者を抱えている不動産業者に対して情報提供が甘い・もしくはしない。
- そもそも販売慣れしていない。ゆえに調査が甘く重要なポイントがわからない
等です。物件が相場よりやたらに安かったり、高スペックであれば売れますがそうでない場合は苦戦するかもしれません。
注:不動産業者と言っても、都内だけで約12万社の宅建業者が存在し、各業者特徴があります。詳しくは『不動産査定依頼前にチェックしておきたい不動産屋の選び方』をご参照ください。
3-2.売値が高い
売値が高いケースについてです。売値が高いと一言で言うのは難しく、何に対して高いのか認識しなければなりません。
単に相場を無視して高い金額で売出する事をこの項では『売値が高い』と呼ぶ事にします。確かに昨今の不動産市況を鑑みるにどう考えても売手市場である事に疑いを持てないエリアもあります。しかしながら、すべてのエリアですべての物件が高く売れるかと言えば、そうではありません。圧倒的な個別性がなければ必ず何か他の物件と競合します。競合する物件を想定し、その中で考え得る限りの高値を付けるのは戦略さえ成り立っていれば問題ありません。しかし、そのような想定なしでただ高く出すというのは販売を長期化する原因の要素となりますので注意が必要です。
3-3.購入希望者が手を出すのにハードルが高い
例えば、再建築不可であったり、擁壁の造成等を要する物件等です。つまり、宅地の加工に費用が多く掛かったり、金融機関からの資金調達が難しい物件という事になります。しかしながら、物件にもよりますが一定ニーズがあるのも確かです。どちらかというと不動産取引に慣れていたり、金額の安さに惹かれて購入を検討するなどといった方からの問い合わせが多い傾向にあります。しかし、3-2.で述べましたように価格設定を誤ると思った通りに販売が進まないケースもありますので、経験豊富な業者、営業マンを選定する方が得策かと思われます。
4.販売が長期化しない為の対策
販売長期化のリスクに対してはご理解頂けたかと思います。
それでは販売を長期化させない為にはどのような対策が出来るでしょうか?これから売却という方、もうすでに売出しているという方ケース別に書いてみます。
4-1.これから売却しようという場合|調査・確認
不動産の調査は当然、不動産業者に任せるべきですが、ここでいう調査とは近隣の売出状況の確認の事を指します。近隣の似た物件をざっくりでもいいのでポータルサイト等から閲覧するようにしましょう。
注:売却を依頼する前に必ず自身で近隣相場のアタリを付けるようにしましょう。根拠がなく高い値段での売出を回避する事ができます。詳しくは『不動産売却をスムーズに進める為の査定依頼方法』をご参照ください。
4-2.すでに今売出中という場合
すでに売出中であり販売が長引いているケースについてです。しかし売却理由は様々な為、少し細分化してお話しする必要があります。
4-2-1.売出をやめる
残債等ない・すぐに現金化する必要性がないこのような場合、一旦売出をやめるという手があります。『いずれは購入したい』層が循環するのを待つという事です。つまり今後現れる購入希望者に対して照準を合わせるという事です。確かに価格の見直しや広告の方法、物件に対しての加工など改善するべき点は改善しなければなりませんが、『売れ残っている』と認識されいるわけですから期間をおいてみて再度売りに出します。
4-2-2.価格を変更する
非常にオーソドックスですが価格を変更します。その際も、100万、200万と単に価格を下げるだけではあまり効果はありません。前述の競合している物件と照らして価格を変更してください。
しかし、残債割れしてしまう等の理由でこれ以上価格を下げられないという下限があるケースもあります。
そのまま住宅ローンを支払い残債を減らす、住宅ローン滞納による任意売却へと進むなど対処法はありますが別記事にて解説します。
まとめ
- 不動産購入層からの問い合わせがあるか、またあるとすればどういう層からか想定する。
- 不動産を情報と捉えた場合、変えられる情報・変えられない情報がある。
- 販売が長期化するには原因が存在する。内的要因か外的要因か早い段階で精査する。
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大手不動産会社出身のスタッフが丁寧に対応します。