不動産売却を考えた場合、『所有している物件はいくらなのだろう?』
そう考えるのが普通です。そして、価格を調べようと思い立った際に便利なサービスとしては【不動産一括査定】があげらられるのかと思われます。
しかし、不動産営業マン側からとらえた一括査定サービスは、利用者の思惑とはまた別の捉えられ方をしているとご存じでしょうか?
一括査定反響のデメリット
そもそも利用者側から考えた場合の一括査定のメリットとはなんでしょうか?
一度に複数社に対し査定依頼が出来、所有する物件の凡その価格をある程度把握できる
につきるのではないでしょうか?
さて、これを不動産業者側に当てはめて考えた場合
複数社と競合し今すぐ客ではない顧客対応もせねばならない査定反響
と捉える事ができます。
以下、よく挙げられる一括査定のメリット・デメリットについてです。
一括査定のメリット
- 不動産の相場がわかる
- 自分が所有する不動産の種別に強い業者がわかる
- 競争原理が働く
- 不動産査定が無料である
一括査定のデメリット
- 複数社から営業電話・メールがくる
- 逆に相場が分からなくなる
- どの業者に頼んだらいいのかわからない
が挙げられます。
いずれも事実ではありますが本質的ではないという事のお気付きでしょうか?
不動産一括査定の対応をしているのは人間という問題
実は、不動産査定というものを掘り下げて考えた場合、対応する営業マンの経験や性格などがかなり反映されるのではないかと思います。
まず競争原理について考えてみます。
仲介単価が高い物件と低い物件
仲介単価が高い・低いとはなんでしょう。
不動産会社に仲介を依頼した際に払う報酬が仲介手数料です。仲介手数料は宅建業法にて以下のように定められていますので今一度おさらいしてみましょう。
不動産売買価格 | 手数料 |
200万円以下 | 5% |
200万円超400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
つまり、物件の価格が高額であればあるほどやる気が出ると言ってもいいわけですね。
仮に、物件価格が1億円だったとして得られる手数料は306万円になります。売りと買い両方を担当出来れば612万円が消費税を抜いて得られる仲介手数料報酬となります。
¥100,000,000×3%+¥60,000=¥3,060,000
更に言えば、流動性があり(売れるという事)ある程度価格の見込める物件の反響だった場合はどうでしょう。
上記で挙げた、競争原理が働くの要件は満たす事になります。
競合していると分かっているので真面目に対応しない
実はこの辺が盲点なのでは?と思う事について触れておきます。
一括査定について不動産業者側から見た場合、競合していることは自明なわけであります。
先に述べたように不動産仲介業者の収益のもとは仲介手数料になります。つまり、売却の委任を受けてその物件が売れないと何にもならないのですね。
という事は、査定の一番の目的は売却の委任を受ける事になります。
ここで最初に戻りたいのですが、一括査定の利用者側の目的については
- 不動産の価格を知りたい
になるわけですが、売りたい とは同意ではありません。
単純に今売ったらいくらか知りたい というニーズに応えている部分があるんですね。このような理由もあり、実は一括査定に真面目に対応しない営業マンが多いのは事実であります。
初めから競合しているのであればやらないという選択肢を取る営業マンもいるというのが実状です。
査定価格に信憑性がない理由
では営業マンが真面目に対応する場合・真面目に対応しない場合 さらに言えば真面目に対応するタイプ・真面目に対応しないタイプについて触れてみましょう。
営業マンが一括査定に真面目に対応する場合
不動産の売却が現実的かつ流動性の高いエリアに対象不動産が位置している場合です。
つまり、先に述べたように 仲介手数料に結びつきやすいと営業マンが関知した場合です。
営業マンが一括査定に真面目に対応しない場合
売るつもりはないけども価格は知りたい、等とメールに入れた場合はそれほど真面目に対応しないかもしれません。実際に私が以前勤めていた会社でもそういう反響は、新人の査定練習用になっていました。
つまり具体性がないことに数字を求む営業マンは相手にしない傾向にあります。特に都心ではその傾向が強いです。
郊外の場合、もともと単価が低い事もありある程度真面目に対応してくれる営業が多いのが印象です。(1000~2000万くらい)
一括査定に真面目に取り組むタイプの営業マン
では一括査定に真面目に取り組むタイプの営業マンとはどんな営業マンでしょう。
- 新人
- ネットに疎いミドル系営業マン
- お客様の為に系の営業マン
語弊を恐れず言えば一括査定にはアタリ・ハズレがあります。アタリは営業成績がいい営業マンが担当する傾向があり、ハズレは新人や営業成績がよくない営業マンが担当する傾向にあります。
また、少なからず お客様の為にという営業マンもいますがこれについては意図して選べないので運なのかなと思います。
一括査定に真面目に取り組まないタイプの営業マン
- 数字を追い求め効率を重視するタイプの営業マン
- 中堅以上の営業マン
- 一括査定以外の集客導線が確立している営業マン 若しくは企業
いわゆる高い査定、もしくは低い査定をしてくる営業マンがこれにあたるのかと思われます。
そもそも、一括査定反響の1件単価は1万程と言われておりなかなかな単価だとは思いますが、その多くはすぐに話にならないタイプの反響が多いのも事実です。
仮に士業系ルート・銀行系ルートが確立している業者・営業マンはエンド反響等必要ないのが実状で、売る気はないけどいくらか知りたい系の反響に付き合う理由もないのですね。
反対に、そういったルートがないから一括査定が必要なのだとも言えてしまいます。
不動産一括査定の利用者側と受けて側は意識的に乖離しているのではないか
こと程左様に不動産一括査定においては利用者側の意図とは別ベクトルの捉え方をされいるのではというのが私の私見であります。
では、このような乖離を防ぐ方法が再現性可能な限りであるのかといえば答えはNOです。
例えば、人がなぜ親身になるのかという事について考えてみると分かりやすいのかもしれません。
知り合いが不動産の事で困っているので不動産業者である自分が相談に乗る という場面を想像してみましょう。
人に自分が詳しい分野について回答したいのは人間の性質としてあると思います。逆にこのような場合においてはなるべくいい結果にしようという意思が働くのではないでしょうか。いわゆる利他性と呼ばれるモノです。
では、一括査定について考えてみた場合、そのインセンティブは非常に営利的なモノなのですね。
この場合、上記に述べたような単価が高い等の理由抜きに誠実にすべての営業マンが対応できるのかといえばやはりNOです。
よく語られる一括査定のメリット・デメリット以前の問題として人間が対応している限りはサービスにムラがないというのはほぼ不可能だと思われますし、利他的に振舞える営業マンを担当にしたいという場合は口コミ・紹介以外にないのではないかというのが実状かと思われます。
もし不動産売却をしたいとお考えの方は、他サイトのメリット・デメリット比較以前にこのような要素がある事を忘れないでほしいと思います。
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