1.不動産売却する為には?
まず不動産売却を検討した場合、以下の方法が考えられます。
- 不動産仲介業者に依頼する
- 自身で買主を探す
ほとんどの人は不動産仲介業者に売却を依頼する事になります。自身で買主を探す方法もあります(自己発見取引といいます)がここでは不動産仲介業者に売却を依頼するケースに絞って考えてみましょう。
※自己発見取引についてはこちらで詳しく解説しています。ご興味がある方は参考にしてください。
2.不動産売買仲介業者を選ぶ
不動産業者といっても会社によって取り扱っている対象は様々です。まず、ここで明確にしておきたいのは全国すべての不動産業者が売買仲介を行ってはいないという点です。
そして売買仲介を主に行っている会社それぞれにも得意分野・不得意分野があることをご存じでしたか?
もしあなたが今後、不動産売却を依頼するのであれば
- 不動産売買仲介を行っていること
- あなたの所有する不動産に対応できること
の2つを満たしている業者を探すことから始めましょう。
2-1.売買はプロに任せましょう。
まず売却の一歩としては不動産売買仲介を行っている会社を探すことです。
現時点で日本国内の不動産業者数は30,000社以上にのぼりますが、そのすべてが不動産売買仲介を行っているわけではありません。
同じ不動産屋といえども、取り扱っている対象が異なる事に注意しましょう。
たとえば、あなたが飛び込みで不動産屋に売却依頼の相談をしたとしましょう。普段、主に賃貸物件の扱いをしている会社であれば売却依頼を断られるという事になるでしょう。それのみにとどまらず、売買仲介の経験がそれほどない会社でも『是非、弊社へおまかせください』という流れになる事もあるでしょう。賃貸と比較した場合に、売買物件が成約した場合に得られる手数料が多い為です。
このように売買仲介に不慣れな不動産業者へうっかり売却依頼してしまった場合、査定価格が曖昧であったり、販売方法が適切でない、さらには取引上のトラブルも誘引しかねないというリスクがあります。
だからこそ、不動産を売却する際は、不動産売買に精通している業者を選定する事が大事なのです。
2-2.オールマイティな不動産業者と専門性のある不動産業者
不動産を売却するタイミングまた動機は様々です。また、所有する不動産も土地なのか戸建なのか、はたまたビルなのかも異なります。
不動産売買を専門としている会社だとしても必ずしもあなたが所有する不動産に対応できるとは限りませんので、どのような不動産業者がなにを扱っているかある程度 先に知っておいて損はないと言えます。
3.査定依頼方法
売却を依頼する際に、ただ闇雲に依頼するだけではあなたが理想とする売却が実現できないという事は理解して頂けましたか?
次に自宅の価格を把握する作業が必要になります。
オーソドックスな方法としては実際に不動産業者の意見を聞くことが挙げられます。いわゆる査定依頼と呼ばれるものです。
査定依頼というと、不動産業者1社1社に問い合わせするというイメージが強いかもしれませんが、幸い自宅の価格を把握するためのサービスは多く存在します。
この章では査定依頼時のポイントと不動産査定が簡略に出来る代表的なサイトや査定依頼方法を紹介します。
3-1.一括査定サイト
①HOME4U
②イエイ
③すまいvalue
④イエウール
3-2.一括査定サービス利用のメリット・デメリット
上記のような一括査定サービスを利用する場合のメリットとデメリットについて触れておきます。
一度に複数社に依頼できるので便利ではありますがその反面、一括査定を受ける不動産業者側の観点から眺めてみると少々のデメリットが浮かび上がってきます。
- 各社競合する為、高価格査定で売却依頼を取得しようとしてくる
- 担当によっては一括査定を重要と感じていない為 正確な査定に務めないケースがある
- メール・電話アプローチが激しい不動産業者も存在する
もしとりあえず不動産価格を把握したい程度であれば自動査定サイトを利用する事をおすすめします。
自動査定サイトについてはこちら
3-3.ポスティングチラシ
自宅ポストに投函されるチラシ経由での査定依頼についてです。
チラシ経由の問い合わせにはある側面ではメリットがあります。例えば、自宅の売却においてあなたの家にチラシを投函してくる業者はおそらく近隣に事務所を構えている不動産会社がほとんどだと思われます。
このような業者は実際に近隣で不動産を探している顧客を多く担当している傾向にありますので、もしニーズが合えばすぐに成約する可能性があります。
また、仮にすぐに成約せずとも紙媒体に積極的に広告費を割り当てる事の出来る会社でもありますので不動産求むチラシと同様、あなたの不動産を広告してくれると考えられます。
ただし、よくチラシに『このマンション内限定で』や『何丁目限定 予算は○○万まで』という文言を添えてあるチラシもありますが注意が必要です。実際に表記されている条件の顧客がいない場合もありますし、不動産価格は個別性が強い為、絶対にいくらで買うというのがなかなか成立しづらい側面があります。
ですので、査定依頼する前にはある程度、相場を把握しつつ査定依頼をするようにしましょう。
4.売却依頼:媒介契約を締結する
ある程度、相場がつかめた段階で売却を依頼する作業へと移ります。一般的にはあなたと不動産業者との間で媒介契約を締結する事になります。
媒介形態には以下の3種類がありますので、売却依頼前に確認しておきましょう。
媒介契約の種類 | 媒介契約の期間 | 業務報告の義務 | 指定流通機構(レインズ)への登録義務 |
一般媒介 | なし | なし | なし |
専任媒介 | 3ヶ月 | 14日に1度 | 媒介契約締結より7営業日以内 |
専属専任媒介 | 3ヶ月 | 10日に1度 | 媒介契約締結より5営業日以内 |
媒介契約の特徴については『不動産媒介契約|どれがおすすめなの論争を考えてみよう』にて詳しく解説しております。参考にしてください。
4-1.大手不動産業者に依頼するメリット
大手不動産業者と言えば、まずは『安心・安全』『企業の知名度』『サービスの良さ』を思い浮かべる人が多いと思います。
実際に大手のサービスは良いですし、安心・安全に取引することが可能です。また、買手側からしても物件と併せて企業イメージの良さから購入を依頼するという場面も容易に想像できます。
そもそも大手不動産業者のそのほとんどがトラブル回避のためのバックオフィス機能が充実しているだけでなく人材採用・社員教育・広告に割り当てられる予算も他企業と比較し潤沢です。
4-2.大手不動産業者意外に依頼しても大丈夫?
大手不動産業者は上記で解説したとおり、あなたが不動産売却で不安に感じる問題を丁寧に解決してくれるサービスを提供していると思います。
では、その他の不動産業者に依頼するメリットはあるのでしょうか?
先の2章で触れたように、もしあなたの所有する不動産が特殊(共有で所有している不動産の自己の持分だけを売却したい・空家を相続したが買手が付きそうにない等の場合)な物件である場合は専門性のある業者に依頼しましょう。
5.売却にかかる費用を計算する
5-1.仲介手数料
成約価格 | 手数料 |
200万円以下 | 5% |
200万円超400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
上記、宅建業法で定められている報酬額の割合です。
成約価格 | 仲介手数料額 |
2000万円 | ¥660,000 |
3000万円 | ¥960,000 |
4000万円 | ¥1,260,000 |
5000万円 | ¥1,560,000 |
6000万円 | ¥1,860,000 |
7000万円 | ¥2,160,000 |
8000万円 | ¥2,460,000 |
9000万円 | ¥2,760,000 |
1億円 | ¥3,060,000 |
参考までに一億円までの成約時仲介手数料がコチラになります。
5-2.印紙
売買契約書に貼付します。
契約金額 | 印紙税額(軽減税率) |
100万円を超え 500万円以下のもの | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 6万円 |
※上記は軽減措置後の税率です。(平成26年4月1日から平成30年3月31日まで)
原則、売主・買主双方がそれぞれの契約書に印紙を貼付します。売主はコピーで代用する等の慣習はありますが
抵当権の抹消が必要な場合、金融機関によっては原本の持込をしなければ別途手数料が掛かったりするケースもありますので確認しましょう。
5-3.抵当権抹消費用
金融機関からの借り入れをしている場合で且つ抵当権設定がされている場合には引き渡し時までに抵当権を抹消する手続きが必要となります。
銀行窓口への手続きについては売主本人が申し出ないといけないケースがほとんどですので、引き渡しのスケジュールに留意しながら銀行とのやりとりをします。
決済日が決定したら銀行へ連絡し抵当権抹消の手続きを済ませましょう。費用はだいたい1万円前後です。
5-4.住所変更登記費用
登記簿に登記されている住所と現在の住所が異なる場合は引き渡し前に住所変更登記をする必要があります。
手続きについてはよほどのことがない限り司法書士へと依頼する事になります。費用はだいたい5千円~1万以下程度です。
6.売却依頼から売却までに確認しておきたいポイント
6-1.売却の流れをある程度把握しておこう
売却のスタートと同時に売却の流れもある程度把握しておきましょう。
一般的な流れは以下のとおりです。
- 媒介契約
- 売却スタート
- 案内
- 買付
- 契約
- 引渡し
契約後~引渡しのサイトが短くてバタバタしたり準備が不十分にならないように注意します。
必要な事項については都度、売却担当に確認するようにしましょう。
6-2.売却依頼をしている業者との関係
不動産業者から業務報告が届きますので売出している物件にどれほどの反響があるのか、現地案内があったかを確認しましょう。一般媒介契約の場合、業務報告義務がないので企業によっては送ってくれる業者、送ってくれない業者がありますので事前に確認する事をおススメします。
不動産業者があまりに怠慢でなく、価格も適正である場合はある程度の反響と案内数があります。せめて週に2件程度の現地案内は欲しいところです。
理想的なのは率直な意見を述べてくれる担当者を選ぶことですが、あまりいい関係性が築けていない場合だと販売が長期化した場合などは特にアドバイスを受けるわけでもなく他の物件販売に注力し放置される可能性もあるので注意が必要です。
6-3.価格の見直しのタイミング
まったく反響がなく、案内もない場合は価格の見直しをおススメします。残念ながら売出価格が相場よりも高い場合や、売り出している物件のニーズが薄いエリア等であればなかなか成約に結びつかない場合もあります。
実際にはそれほど値下げする事なく売却できる事が理想ではありますが、売出時の価格が相場と乖離している場合、値下げをしても買手側が更なる値下げを期待し出しなかなか売れないという状況に結びつく事もありますので売出時の価格については担当の不動産業者とよく相談の上決定するようにしましょう。
※買手の心理をある程度予測することもスケジュール通り不動産を売却する上で重要です。
7.不動産買取
7-1.どうしても売れない場合
売却を依頼したはいいが、なかなか成約にならないケースもあります。販売期間が6ヶ月以上を経過し案内は愚か、案内も全くない状況になってしまった場合、不動産業者に買取してもらうという手もあります。
また、売主の資力では解消できないような問題を抱えている物件の場合においても買取となるケースが多いです。例えば、現金化がどうしても必要ではあるけれども、所有する物件は築年数も経過し、測量費用や解体費の捻出が出来ないという場合や相続後、ほとんど室内の清掃を行わず残置物もある場合でそこまで費用を掛けたくない場合は買取を検討する人が多いです。
いずれにせよ、現金化がどうしても必要な場合においては不動産買取という方法もある事を覚えておきましょう。
7-2.買取価格の相場
買取となる場合、どれほどの価格で取引されるのでしょうか?
おおよそ相場の6~7割程度が買取の相場と認識されています。買取業者の多くが不動産を加工して再販売する目的で買取を行っています。マンション・中古戸建の場合であれば室内をリフォームします。土地の場合は古屋の解体・測量をした後に住宅・アパート用地や建物を建てた上で販売をします。
ただ、昨今の首都圏買取業者は若干飽和気味で競合も多い為、一般の買手とさほど変わらない金額で買取をする業者も存在します。
もし買取という方法で不動産を売却する場合は、担当している不動産業者から買取業者数社へ買取金額を出してもらうように依頼しましょう。
7-3.自分から買取業者へ相談する
仲介業者を介入させず直接買取業者に買い取ってもらう方法もあります。
先にメリットについて触れますが、業者が直接買取をするため仲介手数料が掛かりません。また、初期段階でしっかりと買取金額を比較できていれば満足できる金額で売却することも可能です。最近では不動産買取査定サイトも存在しますのでもし買取で売却を検討する場合は利用してみるのもいいでしょう。
しかし、先に述べたとおり、一括査定にありがちな『どうしても買いたいので高い金額を提示』する業者も存在します。意外に怖いのがこういった業者で、もしあなたが『この業者が高い金額を提示してきたのでここに決めよう』と思い商談を進めると契約直前になってもう少し金額を引いてほしいという場合もありますので注意が必要です。
このような状況になっても売却の期日が迫りしぶしぶ契約してしまうという人もいますから、売却する前にその企業の評判などは予めネット等で調査するのがベターです。
まとめ
不動産売却を円滑に進める為に重要なのはパートナーである業者選びと売却の仕組みを理解する事です。物件それぞれには特徴があり、また売却する理由も様々ですがあらかじめ取引の概要や業界の仕組み・傾向等について知っておいて損はありません。ただ、高く売りたいなと思っても中々上手く行かないものです。
弊社でも売主様にきちんと取引の内容を理解頂き、コミュニケーションが取れている場合には非常にスムーズに成約する場面に多く立ち会ってきました。
不動産売買は物件の個別性によりケースバイケースになりがちですが、それでもある程度の法則があり利益を最大化する形で売却する事が一番の目的ですから是非、業者選び、不動産の売却にお役立て頂ければ幸いです。
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