ローン特約ってなに?ローン特約で気を付けたい3つのこと

ローン特約ってなに?ローン特約で気を付けたい3つのこと

1.ローン特約とは

ローン特約とは

1-1.ローン特約とは

不動産売買時、現金一括で購入できればいいのですが多くの場合は金融機関からの融資を受けて購入する事になります。

しかし、不動産購入にあたり融資を受けられないという事態に陥った場合、違約金なしで解約が出来る特約を付けるのが一般的です。

これをいわゆる『ローン特約』と呼んでいます。融資が受けられなくて解約する事を『白紙解約』と呼んでいます。

1-2.ローン特約の効果

不動産売買契約前にあらかじめ融資が受けられるかどうか打診することを事前審査と呼んでいます。

反対に、不動産売買契約後に出す審査を本審査と呼びます。

注意してもらいたいのは、事前審査で仮承諾が出ていたとしても本審査で減額回答・融資否決の回答を得る事もあります。というのも、基本的に金融機関は売買契約の成立を以て初めて本審査の稟議をあげる為です。

関連記事:『住宅ローン審査時に減額回答に繋がる見落としがちなポイント』 ローン審査前に読んでみてください。いくら属性が良くても否決されるケースもあるのです。

1-2-1.ローン特約による解約

繰り返しますが、ローン承認が得られない場合、買主は売買契約の解除ができます。しかも違約金なしで。

この場合、売買契約締結時に交付した手付金・中間金についての返還の必要が出てきます。つまり契約がなかった状態に戻りますよ、という事ですので手付金等支払うなにもない状態に戻すのです。ちなみに、ローン解除になり売主に不利益が発生したとしても損害賠償請求権は発生しません。

それだけ説明すると売主に不利じゃないかと言われそうですが、実際の取引で融資特約を嫌がる売主もいます。また、あまり説明しないでトラブルになる取引もありますので、これから購入する場合であっても、売却する場合であっても融資特約については担当の営業マンに確認をするようにしましょう。

注:余談ですが収益物件等の現場においては、不動産業者とも競合する事から融資特約をつけない一般個人・一般法人などもいます。(あくまでも自己判断でやってください。)

1-3.ローン特約の期限

いわゆるローン期日と呼ばれるものです。ローン期日とはなんでしょうか?

売買契約に際し、買主が融資を受けるのであれば契約時に期日を取り決め、その期日内に融資の可否を出すと約束する事です。期日を過ぎればローン特約の効果はなくなります。上で申し上げたように期日内に融資が受けられなければローン特約により白紙解除となります。

 

注意したい点としては一般個人間売買であれば比較的余裕をもって期日設定をしますが、宅建業者売主物件(もしくは法人)の場合、融資承認までの期日設定が結構タイトめに設定されるので、すぐに本審査を出せるように準備しておきましょう。相手にもよりますが、なかなかローンが下りずに承認期日を伸ばしてくれと申し出ると嫌がられるのと、違約だと突っこんでくる相手方もいます。

2.ローン特約 重説・売買契約書をチェックしよう

ローン特約 書き方

ローン特約を利用する際の重説・売買契約に記載する融資の内容をチェックしましょう。

借入は3500万円、変動金利35年での場合を例にとってみます。

2-1.不動産会社提携ローン

金融機関等 金額 金利 借入期間 あっせんの有無
 〇〇銀行 3500万円 0.575% 35年 ■有 □無

不動産会社の提携ローンを利用する場合、重説・売買契約書両方に不動産会社からのローンあっせんがあった旨を記載します。上記は重説に記載する際の例です。

銀行名・借入予定金額・実行予定金利・借入期間を記載しあっせん有の部分にチェックを入れます。

2-2.自己発見ローン

金融機関等 金額 金利 借入期間 あっせんの有無
 〇〇銀行 3500万円 0.575% 35年 □有 ■無

自己発見ローンのケースです。やはり、上記同様、借入の内容についての記載をします。

不動産会社からのあっせんはないのであっせん無にチェックが入ります。

2-3.融資特約

上記内容とセットで、特約を設けます。以下は記載例です。

融資利用の特約による解除

1.金銭の貸借に関する事項に記載された融資が、融資利用による特約の期限(平成〇年〇月〇日)までに決定されなかった場合、売買契約は自動的に特約に基づき解約の扱いとなります。

2.特約により売買契約が解約の扱いとなった場合、売主は、買主に受領済みの金銭を無利息にてすみやかに返還しなければなりません。

場合によっては、本審査を申し込みしたか相手方に知らせるために証明を出す特約などを入れたりします。繰り返しますが、融資特約期日まで期間をあんまり設けない契約もあるので注意しましょう。後述する、特にどの金融機関に申し込みをするかさだめていない場合トラブルの元になったりします。

 

3.ローン特約 注意する事

ローン特約で気を付けて頂きたい事について説明します。

金融機関を特定して特約を設けるのか、しないで特約を設けるのかで万一、融資承認が下りなかった場合の対応が変わりますので

覚えておいて損はないでしょう。

3-1.特定の金融機関からの融資特約

 金融機関等  金額  金利  借入期間  あっせんの有無
 〇〇銀行  3500万円  0.775%  35年  ■有 □無
 〇〇銀行  3500万円 0.875%  35年  ■有 □無

借入先の金融機関を特定している特約のケースについてですが、借入を想定していた金融機関からの融資が受けられなければ白紙解約となります。

特に他の金融機関で借入をしてまで購入してくれとは言えません。

3-2.金融機関を特定しない場合の融資特約

金融機関等 金額 金利 借入期間 あっせんの有無
 都市銀行等 3500万円 実行金利 35年 □有 ■無

このように都市銀行等 と記載するケースもあります。つまり、どこの金融機関から借入するかは決めていないが購入できる資金をどこかから調達しますよ、という事ですね。

注意したい点としては、都市銀行等という文言でして、地銀・信金・ノンバンクまで含まれるという点です。当初、都市銀での借入を想定していたが否決をくらい、他の銀行から借入をするつもりがないので資金調達を諦めるという場合なのですが、売主からすれば買主側には融資が受けられるよう尽力してもらいたい限りではあるが買主側に無理してまで融資をうける義務がないという点を覚えておきましょう。

ただ、実際には売主・買主・仲介業者・他関係者を巻き込んでトラブルになるので 融資利用に関しては売主・買主双方、このようなトラブルを想定して契約前に詰めておきましょう。

3-3.買主によるローン崩し

たまにあるのですが買主側がやっぱり買いたくないので、ローン特約を利用して白紙にしてしまおうというケースです。

ローン崩しと呼んだりします。

 

例えば、買主が融資利用に当たって必要な書類を金融機関に提出しなかったり、当初申告していた内容と実際には内容が相違していた場合です。

あと、団信利用できそうにないのに健康で問題ないと申告しても×です。いろいろやり方はあるのですが、つまり買主がわざと融資が受けられない状況にもっていく事です。

当初の契約内容では融資が受けられるよう取り決めた内容で最善を尽くすべきではありますのでこれをやってしまうと信義則に反するわけです。実際にはこれを防ぐためにさらに特約を設けるのが通例です。

ローン特約とセットで買主が原因で融資がおりない場合、ローン特約は適用外という文言を追加するようにしましょう。

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