おとり物件に関する記事です。
不動産業界にあまり関心のない人でも『おとり物件』や『おとり広告』については耳にした事があるのではないでしょうか。
私も不動産屋なのでちょっと気になるニュースがありました。
「おとり物件」業者、不動産サイトから排除へ 来年から https://t.co/0cskNldVGF
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2016年11月14日
1.おとり物件ってなに?
存在しない物件やすでに契約済みにも関わらず集客を目的として広告する物件の事です。今回話題に挙がっているのは賃貸物件についてですが、けっこう大手がやっているというのがニュースバリューがありそうです。
売買の場合ですと、おとり広告、おとり物件 まれに見つけますがどちらかといえばに囲い込み等が話題になりがちですし、ここ何年かでよく囲い込みが目に留まるようになりました。
2.賃貸仲介の特性
弊社ではあまり賃貸案件を扱いませんが、賃貸の場合、売買と比較すると契約~引渡し そして入金までの流れが速いです。
知り合いの客付け賃貸屋さんに連絡するとよく案内中だったりします。よくわかりませんが、売買と比べると案内数は多いはずなんですね。そうすると何が重要になってくるのかといえば管理物件が多くない場合、または従業員数が多い会社だと、ある程度食える分の反響を確保しなくてはならないので広告費・広告料に力を入れるのだと考えられます。
とすれば反響数確保のために広告枠を大量に買ったり、ニュースになっているおとり物件掲載へのインセンティブが働くのでしょう。
モラルがないと言えばないのですが、そもそもポータル広告主体だとこのニュースのような行為態度が醸成されるのもなんとなくですがわかります。
あと、ポータルサイトからの集客が出来なくなると事業が成り立たないような会社も結構あるのではないかと思います。
3.不動産業界の特性
他の業界についてはよく知りませんが、不動産業界は数字市場主義です。少なくとも私が経験した会社は全部そうでした。
数字が振るわなくては会社によっては会議で集中砲撃されます。軍隊系の会社もありますし、ゆるい会社もありますが少なくとも不動産屋なので数字から目を背ける事はできません。(他業界の営業だってそうでしょうが。)
よく不動産は古い慣習に捕らわれがちだと言われますが、実際に古いとは思います。何が古いのかと言えばその一つに体育会系気質である点なのかと思います。
ここでいう体育会系気質とは、高卒や大卒で入社した後に今まで勉強した事はすっかり忘れてイチから生まれ変わったかのような振る舞いを強制するという事です。
基本的には社内の文化が最上位で他の事には頓着しないような精神状態の人間を作りがちなのかと思います。これは不動産業界に限りませんが実際にそういう会社は多いのです。
4.自社文化至上主義
不動産業界は労働時間が長い傾向にあります。
単に業務がかさんで帰れないケースもありますし、上司が帰るまで帰れる空気にない等です。
体力がある人や業務が体に染みついて低燃費で業務遂行できるような人はいいのですが、けっこう連日深夜まで仕事をしているときついです。下手すると深夜からポスティングが待っていたりします。
毎日続けていると、他の事がどうでもよくなり数字を追い求めるマインドになります。反響がけっこうある店舗であればいいのですが、反響がそれほどなく営業マンの頭数はけっこういる場合は大変です。まず、どうやって反響を得るのか、そればっかり考える毎日になるのです。
営業マン単位でコントロールできる反響というのは結構手段が限られておりまして、いい物件の担当をするとか、紙チラシをまくとか、他社物件をネット掲載するとか、、、
顧客至上主義とか社訓に掲げている会社もありますが、その実、上司に詰められるのが堪らないのが動機になっている営業マンも少なくありません。
そうすると客の事はどうでもいいのでその月、なんとかやり過ごしたいという精神状態に追い込まれるんですね。
また、毎日の疲労が半端じゃないと世の中の事がどうでもよくなります。長い時間、会社にいるので会社以外の事に頓着する暇もないわけです。プライベートを大事にしています等求人で見かけますが、成績が振るわなければプライベートも糞もないのです。求人ですらおとりっぽかったりするんですね。
本当は客の事なんてどうでもいい不動産営業マンはけっこういます。
めちゃくちゃく詰められてそれを乗り越えて一人前になるというのは分からなくはないのですが、それで潰れる人も結構な数います。
少なくとも、自社文化至上主義を醸成しやすい業態であることは確かです。ガンガン詰める方が簡単ですから。
あと、忘れてはならないのは人間楽な方に流れるのです。
5.それなりにおとり広告は生き残る
記事では不動産サイトとなっていますが、不動産会社寄りのポータルポータルもあればそうでないポータルサイトもあります。
おとり広告に限りませんが、けっこうギリギリな広告をする会社に対して強く言えない関係性を実際に見たこともあります。
あるポータルサイトでは交通整理され、おとり物件がなくなり、あるサイトではおとり物件があるような虫喰いのようなイメージになるんではないかと思います。
自分の話になりますが、この業界に入る前は当然 不動産素人だったので部屋を借りる際にいろんな広告を見るわけです。
金もなく、より取り見取りできる状況ではなかったので、とりあえずケータイで検索した物件に問い合わせして不動産会社に出かけたら『その物件、もう決まっちゃったんですよ。他の物件を紹介します』なんてやり取りをしました。今考えればモロにおとりだったのでしょうけれども、なんとなく大人が怖いのと、事を荒立てたくないのでつらつらと自分が借りたい物件の情報だとか個人情報を伝えてしまったのです。結局知り合いの不動産屋に頼むことになりましたが。
でも、だいたいこんな感じの人が多いんじゃないでしょうか。
特に情報をフラットに取得でき条件反射的に問い合わせ出来る時代ですので、おとり広告を続けるところは続けるんだと思います。
6.おとり広告に引っかからない為には
あまり業界の自浄作用は期待しない方がいいと思います。基本的に研修や教育に金をかける業界ではないので。
おとり広告に引っかからない為にとりあえず考えられる事を書いてみますが、
知り合いに不動産屋を作って物件確認してもらうくらいしか思い浮かびません。
なぜなら、そもそもおとり物件とは非宅建業者の集客を目的としている訳ですから、そもそも宅建業者(不動産屋です。)から物件確認があれば紹介するメリットなど皆無なわけです。下手すると、トラブルになりますし実際におっかない人はおっかないのでなにかされたりするリスクもあります。
物件確認に関しては入社1週間くらいの営業であれば誰だって出来ますので心配な場合は友達に頼んでみるのがいいと思います。もしくは業者を装って物件確認するとか。
それ以外に見破る方法もあるのかもしれませんが、おとり物件に引っかかって一日無駄にするとなかなかきついのでこんな方法でおとり物件対策をするのがいいのかと思います。