住宅購入時、どこから手を付けていいのか?という質問に対しての回答のひとつとして『事前にご両親に相談した方がいい』というものがあります。
なぜ家探しの前に相談するべきかといえば、私が営業時代に経験した中で契約直線に『両親に相談してみます』という回答が多く、物件・資金計画ともに難がないにも関わらず家探しを見送るといった場面に多く立ち会ったからでもあります。
家探しにおいては『どの段階でどのような行動をとるべきか』が重要なポイントとなります。
1.なぜ家探しの前に両親に相談する必要があるのか
住宅購入において『縁』だとか『タイミング』の部分についてはコントロールできませんが必要条件として、準備を整える事が不可欠です。その一つの要因として周りの反対、特に多いのは両親からの反対についてどう準備するか、またどう捉えるかは準備段階でクリアすべき項目だと思います。以下相談するとどのような反応になるかです。
1-1.住宅購入直前に相談すると反対を受ける
冒頭に述べたように契約直前に『両親に相談してみます』という場合、結構な確率で商談が頓挫します。しかしながら『両親に相談してみます』という言葉を紐解いてみると
- 本当にこの物件で決めていいのか不安がある
- 両親との関係性から相談する必要性がある
となります。
1-1-1.相談の動機が不安ベースである場合
1.に関して言えば、両親を友人・上司に置き換えても成り立ちます。つまり契約前というのは不安でいっぱいになるので自分の判断が間違っている理由を第三者に求めるというパターンです。このようなケースの場合、『やめたほうがいいんじゃないか』という回答が目立ちます。なぜなら相談内容の根本が不安ベースである為、やめておいた方がいいという論法の方が相談を受ける側としても低コストで回答できる為だと思います。(相談相手が不動産屋等のプロであれば条件付きのYESかNOという回答になる傾向にあります。)
逆に買った方がいい理由を例を挙げて説明するのは結構難しい作業です。理由としてローン・税制・物件に関しての知識がいるからです。しかし、不動産屋ではない第三者からは心理的メリットについては語りやすいのも事実で、例えば
『家を買って早く家に帰りたくなった』
『やっぱり賃貸と違う、特に設備とかね』
等は人に語りやすいと思います。
第三者的な反対に対し『やっぱりやめようかな』というのは仕方のない事だと思います。しかし、相談の動機が不安ベースだという事に留意してください。
心理的な『悩み』と『迷い』は似て非なるものでその質からして違うものです。上記例は『迷い』に入ります。
1-1-2.相談の動機が関係性による場合
2.について言えば、例えば子育てや老後に関わる話が多いです。
いままで両親との関係性の中で明言されたにせよされないにせよ、年齢を重ねれば噴出するような問題に関しては必ず話合いしたほうがいいです。
今子供がいる場合の家庭において、両親の近くに住む必要性があれば近くで家探しをする必要がありますし、また逆も然りで両親から離れたくて家を買うケースですらあるのです。いずれにせよ、両親との関係がある前提を家探しの前に明確にしましょう。しかしながら、契約前に相談では遅いので家探しを思い立った早い段階で相談なり話し合いをするようにしましょう。
1-2.住宅探しに費やした時間が無駄になる
仮に、物件・資金計画ともになにも問題がないとします。しかし、契約直前(契約後)、両親からの反対があって契約を回避したり、手付解除により契約を解除したりすることを考えるとどうでしょうか?
実際に、ご両親が反対し、手付解除に至ったケースは私自身経験しているのですが、その後 家探しの条件が厳しくなり結局条件に沿う物件が市場(未公開含め)全く出てこなかったという事案があります。
つまり、家探しの最初期の段階で両親の反対が出る事が予測できれば回避できたという事です。
上記例は頻繁にあるというわけではないのですが、一般的に家探しに要する時間に関していえば
- 家探しをしようと思い立つ
- 情報を得る 1ヶ月~3ヶ月
- 物件を内見する 個人差はあるが約1ヶ月~3ヶ月(土日の場合が多い)
情報を得て(物件・ローンなど)から契約まで最低でも2ヶ月ほどは要します。不動産という商品はその実、住宅に限って言えば、個人ベースでは売ったり買ったりが頻繁に行われませんので今日思いたったので明日買いますというものではないのです。
それゆえ、反復継続した情報取得と現地確認が必要になります。それがけっこうな労力で、土日休みの人であれば週末は潰れてしまいます。また慣れない環境下に置かれると疲労感も普段より感じてしまいます。
このような行動を経てから両親からの反対に合い商談が反故になると住宅探しをしている本人も営業マンもダメージを受けます。(いわゆる機会費用の損失という話になります。)
それ故、早期に両親に一声なり、相談なりの場は設ける必要があるのです。
1-3.資金援助が臨める
前項とは反対に、相談してみたら資金援助をしてくれるという両親もいます。
注:親族から資金援助を受ける際は親族から援助を受けて不動産購入した場合に注意することをご参照ください。
2.どのような反対が出るのか
反対意見にもパターンがあります。また、それに対するアンサーも連動して変わります。いずれにせよ、早い段階ではっきりさせておくべき事項ではあるのですが具体例を少し。
2-1.的を得た反対例
的を得た反対例についてですが、
- 『資金計画に無理がある。理由は・・・・』
- 『道路付けが悪い・・・・売る時にはな・・・』
- 『おいおい・・・他にいい物件があるのに』
など、対案のある場合です。
確かに上記例に鑑みて言えば、潜在的な損失を予測しての反対でありますのでこういった場合は耳を傾ける方がいいと言えます。本来であれば、営業マンの提案がベストであるべきですが、そうでない場合も往々にしてあります。しかし、注意する事としてはその対案が一般論に即しているのか、個別性に即しているかという点です。
当然、予算、希望が絡み合ってその物件を検討しているわけですから一般論で反対されればかみ合いません。
例えば、もっと資産性のある物件の方がいい、といわれても資金的に手が届かないのであれば、援助してもらうほかないのです。こういった理由から、早期で援助があるのかないのか、また住宅購入に賛成なのか反対なのかはっきりしておかないと物件探しの方針すら狂ってしまうのです。
2-2.的を得ていない反対例
的を得ていない反対例とはなんでしょうか。いわゆる『なんだか嫌だ』系の反対です。
具体例としては両親の立ち合いのもと、現地確認という場合があるのですが、設備がしょぼいとか、もっと値引きしてもらえとか雰囲気が嫌だというような内容です。おそらくですが、防衛本能がベースになっているNoであり、あまり根拠があったり的を得ていない場合が多いのです。また、子供が購入する事によって、子供に降りかかる不利益というよりもそれに連関し、自分に降りかかる不利益(たとえば、対象不動産が両親の住む家からちょっと離れていて疎遠になるのを懸念する等)に対しての反応なように感じます。
つまり心理的に嫌だという事なのですが、このようなケースは事前に相談する事で解決できるわけではなく、時節問わず噴出する問題でもあります。
これに対して、『とは言え、もう決めたから』か『そうだよね、やっぱり辞めよう』という態度しか取りようがありませんが、物件探しの時点で基準が設けられていれば前者、なければ後者の選択となります。
注:物件探しの際にどんな事に注意すればいいのかという方は『物件探しのコツとは?住宅購入前に抑えておきたい資金計画の話』をご参照ください。
まとめ
- 家探しをする前に両親に相談し、契約前(後)にバタバタしない。
- 反対の質は論理的なもの・非論理的なものがあり、それに対し回答できる必要がある。
- 両親に対し住宅購入の相談する際は相談内容が心理的なのか両親との関係性なのか自覚したうえで相談する。
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