民法改正でどう変わる?|瑕疵担保責任から契約不適合へ

今国会で審議に入った民法改正、『瑕疵担保責任』という言葉は使われず『契約不適合責任』という文言が用いられるという。

これまで不動産業に従事してきた我々に馴染み深く、契約においても非常にセンシティブになる『瑕疵担保責任』がどのように改正されるのか解説します。

注:国会審議中であり、成立しているわけではありません。今後、改正案が施行された際の参考としてお読みください。

瑕疵担保責任とは

瑕疵担保責任とは、売買の目的物につき、購入した時点では明らかになっていない瑕疵が発覚した場合、売主が買主に対して追う損害賠償、契約解除の責任の事を言います。

また瑕疵担保責任を追及できる要件としては『隠れた瑕疵』である必要があります。

 

『隠れた瑕疵』とは?

  • ① 瑕疵が表見しておらず、一般人の見地から容易に発見できないこと(大判昭和5年4月16日民集9巻376頁)
  • ② 買主が当該瑕疵につき善意・無過失である、すなわち、買主が当該瑕疵を知らず、かつ、知り得ないこと(大判大正13年6月23日民集3巻339頁)

 

例えば、あなたがある土地購入を検討した場合、目視できるレベルでの瑕疵や、売主から引き渡しを受けている告知書に記載された瑕疵については『隠れた瑕疵』とは言えません。買主が瑕疵について善意・無過失である事が要件ですので、買主が認知していない瑕疵についての責任を売主に対して追及できるという事になります。

 

瑕疵担保責任ではなく契約不適合責任へ

従来の瑕疵担保責任では目的物に欠陥があった場合、損害賠償請求が認められ、目的を達成できなかった場合の契約解除を認めています。

しかし契約不適合責任では契約の目的に適合しているか否かが問われます。居住用で不動産を購入した場合であれば、居住用不動産として使用できる必要がありできない場合、以下のように対応することとなります。

損害賠償請求

現行の民法でも損害賠償請求は認められています。隠れたる瑕疵に対して本来瑕疵がなかったとしたら得られた利益を範囲としています。今後、改正案では完全な履行がなされた場合の利益に対しも範囲としています。例えば、ある買主は転売を予定していたが、契約が履行されなかった場合、転売した時に得られたであろう利益に対しても損害賠償の対象範囲となるということです。

契約解除

これまでは契約の目的が達成できない場合に契約解除が認められていました。例えば、土地を購入したけれども調査によって土壌汚染によって健康被害が想定されその土地の上で事業や居住が不能だと判明したような場合です。

改正案では契約の目的が達成できない場合でも一定の期間の催告後、期間内に履行がなければ契約を解除できるものとしています。

追完請求

瑕疵担保責任の考え方においては、損害賠償請求については認められています。つまり契約において買主は目的物に欠陥がないと思い債務を履行(代金を支払う)しているのですが、契約が成立する為には目的物に欠陥がないということが前提となりますので契約上は欠陥のある目的物は存在しないことになります。しかし改正案では契約内容に則り、追完請求が出来るようにするものとしています。

代金減額請求

現行の民法では数量の不足による減額請求と認めています。ですが目的物が契約内容に適合しない場合の減額請求は認められておりません。改正案ではこれを認めるようにするとのことです。

 

まとめ

これまで不動産売買に際して、瑕疵担保責任という言葉に慣れていましたが、今後の審議により改正案が施行される事になれば契約に適合しているか否かについて考えていく必要性があります。もし、契約不適合責任という考え方を用いる場合であれば、契約の目的はなにか明確にする必要性が生じます。




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